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2007年11月17日
11月16日「旅を書く」
どうしても車窓を感じながら、ゆっくり読みたい本があった。
そこで名古屋から高速バスで東京に戻ることにする。
読みたかった本とは既に絶版になっている「旅を書く」(河出書房新社)。
来年から「セカイサンポ」に出る僕に英米文学評論家の新元氏が薦めてくれたのである。
先日、インターネットで探し、ようやく手元に届いた。
1980年代前半から90年代という現代史の転換期に世界中の作家が書いた紀行文を集めた本である。
映画にもなったアフリカはウガンダのアミン大統領のインタービューにこぎつける為に悪戦苦闘する話や南米はペルーのグスマンの革命を追った話など激動の地を取材した作品もあれば、中国の村に一晩泊めてもらった時の話を綴った作品もある。
中には自分自身を見つめる心の旅の作品もいくつか収められている。
例えばアメリカはアイオワ州デモイン生まれのビル・ブライソンが書いた心の旅。
彼は故郷を一日も早く出たかった。
「ひとたびデモインに生まれたら、その事実を何の疑問もなく受け入れ、ボビーという地元の娘と結婚してファイアストーンのタイヤ工場に就職し、死ぬまでそこに住みつづけるか、もしくはこんな掃き溜めから一刻も早く出ていきたいと、さんざん悶え苦しみつつ青春時代を送ったあげく、ボビーという地元の娘と結婚してファイアストーンのタイヤ工場に就職し、死ぬまでそこに住みつづけるかのどちらしかない」
というユーモラスな冒頭の文章から始まる。
その後もデモインの嫌な部分が書き綴られていく。
彼はデモインを出てロンドンに渡った。
しかし、読み進めていくうちに、実は彼はデモインが好きなのではないかと思い始めてくる。
そして最後の段落で彼は郷愁にとらわれていることに気付いたことを述べる。
そして最後の一文。
「そろそろなつかしの故郷に帰るころだ」
僕の目は潤んでいた。
すっかりぬるくなったペットボトルのお茶を一口飲み、車窓をしばらく眺めていた。
ほとんどの本は読んだら、人にあげてしまうか古本屋に売ってしまうのだが、この本だけは一生、宝物になるだろう。

キューバの古本屋は、チェゲバラとカストロの本が多かったなぁ。
投稿者 ishiko : 2007年11月17日 08:42




