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2007年06月18日
6月16日「旅の味」
小説「新潮」に、お世話になっている作家新元良一氏の短編「スケネクタディ」が掲載されていた。
アメリカを旅したバックパッカーの話である。
数年後、お世話になった場所を再び訪れた時、知り合った人達の状況は変わっていた。
亡くなっている人、離婚している人…。
変わらないのは「スケネクタディ」のコーヒーの味だけ。
読みながら、僕はイタリアに1ヶ月程いたときのことを思い出した。
ローマ在住のフィンランド人美術評論家イローナの家と日本人のデザイナーテッシの家で、交互にお世話になっていた。
毎日、誰かがワインを持ってきてくれて、誰かがチーズを持ってきてくれて、ダラダラと飲んだくれ、ダラダラと遊んでいた。
ぼったくりにはあったり、ジプシーに襲われたりする危なっかしいイシコを心配して、
「イシコ!鍵持った?お財布は鞄の中に入れておくのよ。あの場所はスリも多いからね」
とイローナはお母さんのように世話をやいてくれた。
数年後、テッシが来日し、彼女の日本の事務所に遊びに行く。
ローマでいつも飲んでいたエスプレッソを入れながら、近況を語ってくれた。
彼女は当時、つきあっていた男性とは別れていた。
そして、イローナは、癌で亡くなったと聞いた。
「あなたと出会えて、本当によかったわ。また会いましょうね!」
ローマを離れるとき、彼女がハグしながら言った台詞を思い出した。
旅で味わった変わらないエスプレッソの味が、人の流れを余計に感じさせ、僕は泣きながら一気に飲み干した。

時間の流れは止められないんだよなぁ。
投稿者 ishiko : 2007年06月18日 07:15




