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2007年04月13日

4月12日「サントリークォータリーとザ・プレミアム・モルツ」

「サントリー」からザ・プレミアム・モルツが一ダース送られてきた。
ザ・プレミアム・モルツがモンドセレクションのビール部門で金賞を受賞したのだそうだ。
食品のオリンピックで金メダルを穫ったようなものである。

「サントリー」から送られてきたと書いたが、正確には「サントリークォータリー」から送られてきた。
「サントリークォータリー」は、開高健氏や柳原良平氏らが創刊した老舗の広報誌である。
創刊当時はサントリーという名前ではなく「壽屋」という社名で、サントリークォータリーという名前ではなく「洋酒天国」という誌名だった。

僕が初めて長いコラムを書かせていただいたのが、この雑誌だった。
テーマは「時間の贅沢」。
ちょうどその締切間近、僕は鹿児島の獅子島にある小さな小学校に講演に行く最中で、フェリーの上にいた。
初めての長い原稿なので、何度も推敲して鹿児島に降りたところで原稿を送るつもりだった。

そのときである。
突如、画面が消えたのである。
パソコンクラッシュ!
今では慣れっこになったが、その時、初めての経験だったと思う。
もちろん30枚近い原稿はパーである。

まずい。
嫌な汗が出てきた。
とりあえず落ち着こうとそのときの旅で運転してくれていたコーディネーターの田中氏から焼酎をもらって飲んだ。
「時間の贅沢」どころの騒ぎではない。

「イシコさん、これだったら持ってるんすけど…」
田中氏の後輩で一緒についてきてくれた若い男の子が僕に差し出してくれた。
今はほとんど見かけなくなってしまったが、当時、若い人達が持っていた何とかメイトとかいう携帯につなぐメール専用のキーボードだった。
僕も買った覚えがある。

「ありがと〜!やってみる〜!」
彼から、その何とかメイトを借り、約30枚の原稿を一からしかもベタ打ちで書き始めた。
携帯メールにそのまま原稿を書いていることを想像してほしい。
その上、このキーボードがままごとのように小さく、2、3本の指しか使えない。
通常の何倍くらいの時間がかかるのだろうか。
鹿児島に到着し、みんなが温泉に行っているときも、みんなが飲みに行っているときも、講演以外の時間は、僕はひたすらそのキーボードで原稿を打ち続けた。
そして送った。

送られた方はびっくりである。
当時、サントリークォータリーの編集者であった内海氏からすぐ電話がかかってきた。
「イシコさん、この原稿どうしたんですか?」
「うん、パソコンがフェリーの上でクラッシュしちゃって」
「…」

思えばあれ以来、内海氏には迷惑かけっぱなしである。
恐らくこれからも。
そんな思い出を噛み締めながら、今、朝一の「ザ・プレミアム・モルツ」を飲んでいるわけで。
ちなみに、その長編コラムで、当時、生まれたばかりのホワイトマンのことを書いたのである。
僕の長いコラムデビューでもあり、ホワイトマンの雑誌デビューでもあった。

投稿者 ishiko : 2007年04月13日 07:22

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