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2007年03月06日
3月2日「イシコ詐欺にあう!」
詐欺にあう。
もちろん、僕が悪い。
今後、僕のような人が出ない為にも、キューバの詐欺集団の為にもキチンと伝えた方がいいと思い、交遊録に書き留めることにした。
というわけで普段の交遊録の記録メモとは違い、原稿のようにちぃと長い。
恐らく交遊録始まって以来の長さであると思う。
最近、携帯の画面でこの交遊録を読んでいる方の話も聞くので、ちょっと申し訳ない気もするのだが、お許しくださいませ。
とにかく長いので面倒な方は本日は、飛ばしてくださいませ。
さぁ、ここまで断っておいたので思いっきり書くことにする。
本日は僕以外の9名のスタッフは、葉巻の世界で伝説のおじいさん「ロバイナ」さんの取材に向かう。
僕だけ不定期連載の「世界の映画館」取材を理由に、わがままを言って、街を自由に散策させていただくことにした。
疲れたら「フロリディータ」でダイキリを飲み、疲れたら「ラボデキータ」でモヒートを飲む。
この二軒はヘミングウェイが存命中、キューバに住んでいた頃、毎日のように通っていたと言われる店である。
ヘミングウェイになりきって、僕も飲んだくれていたわけである。
飲んでばかりに思われるが、子供達の野球の様子をぼーっと見ていたり、街のスーパーというかコンビニや文房具屋を見たり、金歯のミュージシャンと片言の日本語を楽しんだりと書けば書く程、仕事をした感じがしないのが辛い。
それでもキューバ映画、子供向け映画、ハリウッド映画を上映している3軒の映画館を発見し、そのうちの1本は観ることにした。
キューバ映画も子供向けの映画館も興味はあるが、キューバとアメリカという仲が悪い国においてのハリウッド映画の反応を知りたくて、「パイレーツオブカリビアン2」を上映している館を選ぶ。
しかし、まだ始まるまで1時間程度ある。
ちょうど問い面にあったショーパブのような場所でビールでも飲もうかなぁと思い、道路を渡り、地下に降りようと思った時である。
「この店は夜オープンだよ」
英語が聞こえてきた。
僕はスペイン語も英語もできないので正確なことはわからないが、恐らくそう言ったのだと思う。
振り返ると赤いTシャツのスキンヘッドの小柄な男だった。
「どこから?」
「いつ来たの?」
「キューバは何回目?」
的なことを聞き、僕は片言ではなく一言の英語で答えていた。
今、思えば、このとき彼は僕をリサーチしていたのである。
この後、何度となく今、思えば的なシーンが出てくるが、そのときはわからなかったのだ。
「今から、サルサのライブがあるから、行かないか?」
映画の時間は気になったが、映画は次の回を観ればいいやと思い、連れて行ってもらうことにした。
彼の名前はフェデリコと言い、仕事はDJで、僕らが昨日、行ったサルサの場所でDJをやっていると言う。
彼はホワイトマンで創ったメモ帳に自分のDJのスケジュールを書き、電話番号とメールアドレスまで書いてくれた。
お姉さんは日本人と結婚して、現在、日本でサルサを教えていると言う。
フェデリコは通りに座っているおばあちゃんに、やさしく声をかける。
ホントいい人が多いなぁと感心する。
もちろん、これも演技だったことを後から知る。
路地を何度も何度も曲がり、どこにいるのかちょっとわからなくなった頃、中華街にやってきた。
中華街なのに中国人が少ないんだよと彼は説明してくれた。
1軒の隠れ家的な店に入っていく。
ここでサルサのライブをやると言う。
とてもライブができるような場所には見えなかったが、さっきもフロリディータで、入り口の狭い場所で生演奏をやっていので、そういう物なのだろうと思った。
しかもそのライブにはブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバーの一人が出演すると言う。
席につき、モヒートを頼んだ。
座ったところでフェデリコの写真を撮ろうとしたら、
「できないんだよ」
彼はとても悲しそうな顔をして写真をやんわりと拒否した。
手にはめていたミサンガのような物をはずし、宗教的に写真はダメなんだと申し訳なさそうに理由を述べた。
そこへ彼の友人がやってきた。
彼は出演するブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバーの孫だと言った。
すごいことになってきたぞとバカなイシコは興奮していた。
「演奏中は全て写真を撮ってもいいよ」
フェデリコは言った。
モヒートがやってきた。
1杯5CUCである。
ヘミングウェイのラ・デ・ボデキータでさえ4CUCなのに、バカイシコは既に舞い上がっていた。
もちろん彼の分も僕が支払った。
兌換紙幣であるCUCを出した。
そのときである。
フェデリコが騒ぎ始めた。
「こんなのを使っているのか?信じられない。この紙幣はよくないよ!」
外国人がよくやるように、彼は首を振った。
いくら勉強不足の僕でも、外国人向けの兌換紙幣とキューバ人向けの紙幣があるのは知っていた。
しかし、彼は、その間にもう一種類の紙幣があるのだと紙に書いて説明してくれた。
しかもレートまでキチンと記入する。
ちょうどCUCも足りなくなっていた頃である。
残り2日間はこのもう一種類の紙幣で生活してみたい気がした。
その紙幣があれば、住民しか入っていないような店でも購入できると言う。
確かにさっきもスーパーのような場所で現地のジュースを何本か買おうとしたら、兌換紙幣を嫌がられ、結局、持っていたコインで勘弁してもらったばかりだった。
時間は2時50分。
銀行が閉まる時間である。
土日はATCも使えないとフェデリコは言う。
明日から土曜日。
ライブまで後1時間ある。
「よし、両替に連れて行ってあげるよ」
フェデリコは言った。
こうして、僕らはすぐに席を立った。
銀行に行き、クレジットカードでおろす。
出てきた場所に、ちょうどブエナビスタソシアルクラブのメンバーの孫と言う彼が乗ったタクシーが通りかかる。
フェデリコは言う。
「両替所まで乗せて行ってくれ」
タクシーの中でブエナビスタソシアルクラブのメンバーの孫と言う彼(長いので今後はブエ孫と呼ぶ)は僕に言った。
「僕もピアノを演奏する。しかし、おじいちゃんのようにうまくない。いつかは日本の沖縄でライブをやってみたい」
僕は、そのときに口走った。
「いつか一緒に沖縄に行こう」
タクシーは30分くらい走っただろうか。
フェデリコの家族もライブに連れていきたいから自宅の近くの両替所でもいいかということだった。
もちろん僕はオッケー。
今まで、街中にしかいなかったので、ちょっとだけ離れた郊外に来たことが嬉しかった。
しかも、タクシー代はフェデリコが払ってくれる。
支払っているところを見られたくないような素振りまでしていた。
彼は僕にさっきクレジットカードで引き出したお金を持って両替所に向かった。
彼が両替所に行っている間、僕はブエ孫からサルサを習う。
戻ってくると僕に、その金をキチンと渡す。
そのレートは彼が先ほど、言った通りの金額である。
危ないから、すぐにお金をしまえと言う。
そして、すぐに近くの公園のベンチでみんなで座った。
一度、家に寄って、家族を呼んで来るから5分待っていてくれと言う。
もちろん僕はオッケーと言い、みんなで待った。
しかし、なかなか戻って来ない。
こちらの人の5分は30分以上ということも承知していたので気にしなかった。
持ち歩いていた絵葉書と今年、いただいた年賀状を取り出し、書き始めた。
僕は年賀状を旅先から1年かけて返すことにしている。
その話はどうでもいいとして。
10枚程度、書いただろうか。
あっという間に1時間以上が過ぎていた。
映画の時間も迫っているので、さすがにこれ以上は待てない。
まぁ、いざとなれば、今日の夜、フェデリコがDJをやっている店に遊びに行けばいい。
タクシーを捕まえて、メモをした街の映画館の場所を見せて連れて行ってもらった。
すごい知り合いができたとご機嫌の大バカ者イシコである。
タクシーを降りようとしたとき僕がもらったお金を出すと運転手は怒り始めた。
何を怒っているのか僕はさっぱりわからなかったが、次第にこの金は外国人のお前は使えないんだと言ってるように思われた。
しかし、正確なことはわからない。
言われた金額を出すが彼は、それでも怒ったままである。
とにかく気をつけろ的なことを彼は言って、立ち去ってしまった。
僕はタクシーを降りて、フェデリコに変えてもらった紙幣の12ペソ払って映画館の中に入り、座ってから、いろいろ考えを巡らせた。
タクシーの運転手にはフェデリコに変えてもらった金額の6分の1程度、取られてしまった。
タクシーの運転手がぼったくりなのか…。それとも…。
そこで僕は初めて気がついたのである。
ひょっとしたらフェデリコが嘘をついているのかも。
そうこうしているうちに映画が始まった。
ちょうど映画が始まって1時間程度しただろうか。
信じられないが、映画が途中で中止になってしまった(詳しくは3月中旬くらいにアップされる「世界の映画館」で)。
こうして僕はホテルに戻り、コーディネーターの皆様にお話をして、自分が騙されていたことを知るわけで。
こう書くとキューバ人は、悪い人というイメージがあるかと思うかもしれないが、基本的にはみんないい人である。
結局は、どこの国も同じである。
日本だっていい人もいれば、悪い人もいる。
騙されても、これだけ濃い時間を楽しんで、しかも危害を加えられることなく、帰ってこれたのだから、よしとしなくてはいけない。
「イシコみたいなのがいるから、日本人が狙われるんだ。全く〜!」
と怒られ、それには確かに反論はできなかった。
少しは反省はするが、結局、こういったことは一度や二度ではないので、きっと僕は、どこの国に行っても何か犯罪に巻き込まれるのかもしれない。
こればかりは旅慣れの問題ではなく、頭の悪さに原因があるのだろう。
ちなみに僕が使っていたお金は、現地通貨で外国人は使ってはいけない。
使っていると僕自身が警察に連行される恐れもあるのだそうだ。
投稿者 ishiko : 2007年03月06日 08:14




