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2006年08月30日
8月29日「日本一カッコ悪い男」
ここに日本一カッコ悪い男がいる。
彼は漁船に乗っていた。
まるで、ずっと漁師をやっているかのような態度であった。
実は、今日で二日目だというのに…。
きっと初めて漁船に乗ると言うダイバーの女の子2人組も一緒に乗っていたからに違いない。
スクリューに紐が絡まるというトラブルが発生したにも関わらず、彼は対処しようとしなかった。
民宿「肥田文」の若手ダイバー3人組を呼び出し、潜ってもらい、紐をはずしてもらった。
もちろん呼び出したのは、船長のおじいちゃんである。
一応、彼も「ありがとうございました」と言っていたが、あまり気持ちがこもっていなかった。
恐らく彼は少し荒れている海に緊張していたのかもしれない。
ほとんど光害のないプラネタリウムのような式根近海の空で、緊張を紛らわせていた。
しかも彼と女の子2人組は、船が進むに連れて浴びる水しぶきを、キャッキャッ言いながら喜んでいた。
確か彼は、いつもは人見知りと言っていたはずである。
船が停まるとやはり海は荒れていて、揺れを体感するようになった。
彼はトビウオの網の救い方を彼女達に教えていた。
何度も言うようだが、今日で二日目だというのに…。
彼女達の運動神経は抜群で、彼よりも網で救うのがうまかった。
船は更に揺れを増していった。
彼は遂に網をデッキに置いて、船の端でうずくまった。
どうやら船酔いである。
それでも彼は、言い放った。
「星を見ていると酔いも覚めるんですよね」
日本一カッコ悪い男がそこにいた。
彼の名前はイシコという。
投稿者 ishiko : 2006年08月30日 23:52



